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切通理作
2017.4.6 02:39

天皇なき国家のために死ねるか

教育勅語について「教材として用いることまでは否定されるべきではない」とする政府答弁書が閣議決定されました。

リベラルメディアはこれを、安倍政権の下で教育勅語を復活させる動きの中に位置づけ、批判しています。

「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」という精神を国民に浸透させるのが目的なのではないか……というわけです。

 教育基本法の改正に熱心だった安倍政権が、第一章第一条の「教育の目的」において、改正前にはあった「個人の価値をたつとび」を削除し、「国家及び社会の形成者」を強調。「個人」ではなく「国家及び社会」に重きが置く流れの中に位置づけているのでしょう。

 しかし問題なのは、安倍政権が従属させようとしている国家の中心に、本当に天皇がいるのかどうかということでしょう。

 天皇陛下の意見を聞かないで皇位継承を危機にさらす現政権が進める「国家に重きを置く」政策が、陛下を敬う者の政策ではないということなら、国民は天皇のためではなく、天皇のためという嘘で騙そうとする政権のために、命を捧げることになる

 その国家に、真実の核(コア)は、あるのでしょうか。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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